| 手打ちそば喜心庵 |
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| 真田そば | |
| (2004年6月) | |
池波正太郎の「正月四日の客」は、正月四日には真田そばしか出さない蕎麦屋が舞台になっている時代小説です。 その真田そばというのが「舌がひんまがるような辛いつゆで、そばの味もなにもあったもんじゃない」といって常客も閉口し、この日だけは客がやってこないようになったという激辛そばです。 山国の痩せ地に育つ細く貧弱なネズミ大根をすりおろし、このしぼり汁をそばつゆにたっぷりあわせると池波正太郎は書いています。 何年か前、長野県を旅行したとき、真田そばを食べましたが、ちっとも辛くありませんでした。時代とともに味もかわるものなのでしょうか。 「蕎麦の事典」(新島繁著)によると、「ねずみダイコンとも呼ばれる辛味ダイコンの絞り汁に、くるみ醤油を合わせたものを真田汁と呼ぶ」のだそうです。 ネズミ大根は辛いので辛味大根とも呼ばれる十数センチの小型の大根で、先端がネズミの尻尾みたいな大根です。 (パソコンのマウスのかたちを思い浮かべてください。)収穫期は秋から冬。辛味大根とよばれる大根は、ネズミ大根の他にも京都鷹峯の辛味ダイコン、これは小さなカブのような丸型で、ワサビより辛い超激辛、旬は秋から冬。 それに親田辛味大根、戸隠大根、辛丸、夏に出回る雪美人大根、 たんしん大根などがあります。 辛味大根は、冬辛味が強く、夏は甘くなってしまうようです。先日も「冬に来た時は薬味の大根が辛くて旨かったけど、今日は甘くてがっかりした」とおっしゃるお客様がおられました。 話は変わりますが、大根といえば、北大路魯山人の「尾張の大根」。 料理屋が「今日はわざわざ尾張から大根を取り寄せました」と、大根にたいするコダワリを言えば、客は「尾張の大根はすごいものなんだ」と思い込む現象のことです。 北大路魯山人はこの料理屋が客をありがたがらせる詐術を皮肉をこめて「尾張の大根」とよんだわけです。ちなみに尾張の大根とはどんな大根かというと、今ではどこにでもある青首大根(宮重大根)のことらしいです。
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