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玄蕎麦から挽いた場合と丸抜きを挽いた場合

2013年03月02日 

   突然のメールでゴメンナサイ。 製粉で悩んでいます。 玄蕎麦から蕎麦粉を石臼で挽いた場合と、丸抜きを石臼で挽いた場合と、何が違うのでしょうか?。 玄蕎麦から挽いた方が美味しい感じがしますが。 アドバイスを宜しくお願いいたします。

 答

 喜心庵のホームページをご覧いただき有り難うございます。 手碾きの石臼ですか。 いいですね。 製粉はそば打ち以上に奥が深く楽しめます。

同じ玄そばや丸抜きを使っても、 回転速度や投入量、篩のかけ方、碾き分けの仕方で変わってきます。 自分で碾けば本当の碾きたても食べられます。 碾いてすぐの粉と一晩置いた粉での違いも実感できると思います。

それらの違いをどうとるかは、感性と好みの問題です。 素直な心で判断してください。 「自家製粉だから旨い。」 「マスコミにも取り上げられた名店だから旨い」 「名産地のそばだから旨い」 「手打ちだから旨い」 とかいう人がいますが、根拠はありません。 人はどうしてもコストをかけた方、 手間をかけた方、 人が評価している方を わけも無く良いと思ってしまうものです。

ここからは、私の個人的な意見です。 そういう考えの人もいるんだ程度に思っていただければ幸いです。

私も玄ソバから碾いた方が旨いと思います。 丸抜きよりも手間もかかるのですが、 甘い香りが強く出るような気がします。 玄そばから碾いた粉を若干太打ちにしたそばが一番おいしいと思います。 細打ちでは茹でや洗いの段階で香りが抜けてしまうような気がします。 玄ソバと丸抜きでどうしてそういう差が出るかはわかりません。

一般的には殻の内側にある甘皮部分が粉に混ざるからだといわれますが、 それがいったいどう言う物質なのか分かりません。 以前分析データをネットで探したのですが見つけられませんでした。 黒度調整としてソバ殻の粉(黒粉)を混ぜたものは、 黒いからうまいとか、 ソバ殻についている甘皮が混ざっているからといわれても、 雰囲気は味わえても旨いとは思えないのです。

店をやっているとき、そば粉屋さんから 「田舎粉」と称する黒いそば粉を勧められ どうせ黒粉を混ぜたものかと思ってサンプルを見ると あの甘い香りがするのです。 玄ソバを碾いたのか詳しく聞くと、 全部玄ソバだと歩留りが悪いし手間がかかるから、 丸抜きに二割程度玄ソバを混ぜてその分丁寧に碾くのだそうです。

私の推測ですが、 甘皮云々という事もあるでしょうが ソバ殻の厚みの分だけ、臼に隙間ができるので、 ソバに優しくなるのかなと思っております。 臼によって直接粉になるだけでなく わずかの隙間の中で粒同士がこすれ、 練られる様な現象が起こるのかなとも考えています。 また、わずかな隙間の分空気が入り 適度な酸化によって風味が出るのかもしれません。 あくまでも仮説にすぎませんが。

ご質問とは関係ありませんが、 碾きたてと一晩以上置いた粉では、 一晩以上置いた方が好きです。 微妙な違いだと思いますが、 碾きたての方が角があるように感じ、 一晩置いた方がまろやかな、やさしい感じがします。 そういう粉を使い慣れている、 食べ慣れているからかもしれませんし、 碾きたてを食べ慣れている人にとっては、 力強さが無いとか、気が抜けたように感じるかもしれません。 それが感性によるものならその人の個性ですから どちらも正しいし、どちらも尊重すべきだと思います。 私は、この手の事でどちらかにしなければいけないという考えが嫌いですし、 どちらか一方を根拠の無い理屈をこねてやたら主張する人が大嫌いです。 どちらにしても、汁の具合や、 薬味をぶち込んだら分からない程の差ですけど。

「玄蕎麦から挽いた方が美味しい感じがしますが。」 あなたの求める答えではないかもしれませんが、 あなたにとって答えはもうでているのです。 あなたがおいしいと感じるからおいしい。 それが全てです。 ○○だからおいしいというものは 疑った方が良いと思います。 本当においしいものは 「なぜか、おいしい」 のです。

 

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