Q&A   
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やわらかい蕎麦

2013年05月09日 

   はじめまして。 最初に少しだけ自己紹介を。

私、宮崎県の新富町というところに住んでいまして、そばを町の特産品につなげようと十数年前から農家の方たちが町の支援のもと生産グループを組んで活動しています。 そういう背景から、7年前より私がそば教室という活動をし、昨年10月中旬縁がありまして勢いでそば店を開いてしまいました。

誰にも教わった事がなく、書物やインターネットの情報でそば打ちをおぼえてきた(とおもっています)のですが、店を開いて様々な疑問がでてきました。 前にもホームページをちらっとだけみさせていただいたのですが、本日改めてよくみさせていただいたら、私が迷っていた事がかいてありました!もう、何か、すごく、心強く感じました。 誰にも習った事がないので、誰にも聞くことができない事がのっていました。全てのページは今から拝見させていただきますが、そのページは、そばの腰についてのページです。 先輩を前にしておこがましいですが、おっしゃる通りだと思いました。 同じ考えの先輩がおられてこころづよいです。

具体的には、
お年寄り1名を含んだ4人連れのお客様がおみえになり、お年寄りの分だけせいろで柔らかくしてくれということでした。 これには、頭を抱えました。柔らかいとはどんな事を言っているのだろうから始まり、こちらのうどん屋さんのさな粉を使った色だけの「手抜きうどん」(腰を出す為の寝かせや捏ねを省いているので教室ではそうよんでいます)をもっと柔らかくしたのだろうと思いました。

こりゃあ、私の店では無理だ。と、感じました。どうやっても、あのねチャットしたのは打てんし打ったら恥だと思っているので。

それ以来、「蕎麦を柔くして御年寄りが食べやすくするには」を考え続けていたのですがホームページの中のヒントで、基本無理だけどそう感じさせ食べやすくする事は出来ると感じました。

余談になりますが、私の教室の教え子で、素人何段位やら何とか名人の何段位やらを持っているものがいます。その人が開いている教室にいってそばをいただいたのですが、二八で2mm〜2.2mmくらいの太さの蕎麦を家庭用の鍋で30秒前後(蕎麦を投入して)であげていました。 「腰があるだろう?」といわれましたが私にはまだ煮えていない固いそばじゃん でした。

「蕎麦の香り、穀物の香りがするでしょう?」には、これって、粉の香りじゃん でした。

おっしゃるとおり、本等の蕎麦を、そばの本等のおいしさやすばらしさをわかっていただけたらなあと思います。

長くなりましたが、すごく感動いたしました。今後の私の店の参考にもさせていただいてもかまいませんでしょうか。

 答

 喜心庵のホームページをご覧いただき有り難うございます。

私どものホームページがお役に立つならとてもうれしく思います。 私は我流のそば打ちですのでかなり片寄っています。 そのことを念頭においていただければと思います。 我流のよかったことは、 やってはダメということを実際やって確かめられたことと、 他人の技や他店の味を盗むのが上手くなったことでしょうか。 悪かったことは、そばを見てそばからそばのことを学び、お客様を理解できないところです。 お客様から教えてもらったこともたくさんあります。 お客様も色々です。 メディアからの情報、 主に「コシが有る」「豊かな薫り」「カツオ出汁の効いた」という そば屋を紹介するときの常套句を真に受けて、 金科玉条にして、分かりやすく、硬い生茹や 匂いがすれば小麦粉臭、酸化したサナゴの匂いでも 魚っぽければ生臭い汁の方を良しとするお客様もいれば、 私などよりもよっぽどそばに詳しく 少なくとも感覚的にすぐれたお客様もいます。

そばの楽しみ方はそれぞれですからどちらが良いとはいえませんが 1軒のそば屋が両者を満足させることは不可能です。 商売としては、 前者のお客様を相手にハッタリをかました方が反応が良いし、仕事も楽です。 ただこういうお客様は飽きるのも早く持続性のあるハッタリや 矢継ぎ早に何かを提示しなければならないのが大変です。 この手のお客様は分かりやすいところをもってほめてくれますが、 分かり難ければボロカスにいわれます。 また善くも悪くも他所で言いふらしてくれます。

後者のお客様は何もおっしゃりません。 気に入ってくだされば二度三度と通って来てくださり、 他のお客様に聞こえないように、気付いたことを ぼそっとおっしゃってくれたりします。 それがどうしようかと悩んでいたことだったり、 見落としていたことだったりでグサッと来ます。 このグサッは不思議と快感です。 この手のお客様は他所で言いふらしたりしません。 メディアなどに取り上げられてお客が増えると 仕事が荒れたり、質が落ちたりすることを心配してくださいます。

むかし、ある地方都市でその地域で有名なそば店に行ったときのことです。 先にいた3人組の御婦人がやたら「おいしそう」「おいしい」「きれい」を連発して その店の天せいろを褒め称えていました。 私が注文したもりが来て食べてみると不味いというほどではないが、 私の基準では中の下というところでした。 私が食べている間も「おいしい」を連発してうるさく感じたもので、 そば湯もそこそこに、店を出ようとしたところ その御婦人たちと同じタイミングで店を出ることになり、 はからずもその御婦人たちの後をしばらく歩くことになったのですが、 御婦人たちの会話は耳を疑うものでした。 「見た目ばっかりで、たいしたことなかったわね」から始まり 私が悪いと思ったところを全てあげていたのです。 「この間行った○○のほうがだんぜんおいしい」と 私がその地域で食べた中では一番おいしいと思った店の名前まで出て来たのです。 私が食べていない天ぷらの評価も信頼できるものだと思いました。 このことはお客様の恐さを知ることができたと同時に 自分の基準で出せば分かってくれるひとが必ずいるという自信にもなりました。

新しく店をするひとには、どちらのお客様を対象にするか軸足を決めるようにいっています。 軸足をブラさずスタンスをなるべく大きくとって、 いちばん多い中間的な、 そばを嫌いじゃないがこだわりも無いお客様を多くとるのが良策です。

余計なことを長々と書いて申し訳ありません。 宮崎といえば九州でも昔からそば栽培の盛んなところと聞いております。 宮崎大学の農学部は信州大学の農学部とそば研究で双璧をなしているとも聞いております。 4倍体の大粒種の研究やダッタンソバを日本に紹介したのも宮崎大学だったと思います。 福岡、佐賀、熊本には親戚もいたこともあり行ったことがあるのですが 宮崎には行ってみたいと思いながら機会がありませんでした。 機会があれば是非一度は、行ってみたい所です。

これから暑くなるとそばには厳しいけどお客様は来てくださるという難しい時期に入りますが、ご商売のほう頑張ってください。

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