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ざるそばと、せいろそばの違い

2013年09月30日 

今、仙台から札幌支店に赴任してきました。昨日、新得の新そば祭りに行ってきました。打ち立て、ゆでたてすべてウソでした。一時間三十分前に会場に行きテントを何度も廻りましたが、確認できませんでした。30分並んで食べたそばは、短冊でした。(たぶん2:8そば)愚痴は、ここまで、ざるそばと、せいろそばの違いを教えてください。今日、札幌石山そば街道でそばを食べましたが、温かいそばつゆ、つめたいそばの、せいろそばがいまいち理解できません。仙台、山形で言うざるそばを食べたいです。

 答

喜心庵のホームページをご覧いただきまことにありがとうございます。

残念ながら仙台に行ったことがなく、 山形も米沢と酒田にしか行ったことが無いもので おっしゃられている仙台、山形の「ざる」がどういうものかわかりません。 米沢や酒田でも店に依る個性は多少あっても、どこにでもある 「ざる」「もり」「せいろ」だったように思います。

「せいろ」と「ざる」のちがいはもともと食器のちがいです。 食器の名称がそばの名称になるのは珍しいことではありません。 出雲のわりごそば、出石の皿そば、 小千谷のへぎそば、盛岡のわんこそばは食器の名称です。

ざるそばの起源については 江戸時代中期に江戸の深川洲崎にあった伊勢屋というそば屋が 値段は高いが大変美味しいと評判になり、 ザルに盛っていたので「ざるそば」と呼ばれるようになったそうです。

伊勢屋は寛政3年1791年の高潮だか津波だかで流され 残念ながら再建はされなかったようですが、 普通のそばより高級というイメージでざるそばは 多くのそば屋に真似されたようです。 そばをザルに盛ること自体は伊勢屋以前からあったと思います。

せいろそばというのは江戸時代の初期、そばは蒸していたから その名残だというのが定説のようです。 ザルとちがってセイロは重ねられるという利点があります。 このことは高級店は出前が主だった昔はセイロが重宝したと思われます。 いまでも「もり」というより「せいろ」と言った方が 高級なイメージという風潮が残っていると思います。

そばの商品名に基準はありません。 各店で自由に命名して構いませんし、お客さんがどう呼んでも構いません。 もちろん通じればのことですが。 山陰地方に「あつもり」で有名な店があって そこでは、「もり」といえば「あつもり」が出て、 冷たいそばを「ざる」と称して売っています。 東北地方のあるそば屋で「もり」と「ざる」があって 「もり」を頼むと海苔が載って出てきたことがありました。

おやっと思ってテーブルの伝票を確認したけど「もり」とあるし たまたま「ざる」を頼んだお客さんのテーブルを見ると 黒っぽい太めのそばに海苔が載っていました。 いわゆる「田舎そば」を「ざる」としていたようです。

「もり」と「ざる」も明確な基準があるわけではありません。 一般的には海苔が載っていれば「ざる」と呼んでいはいますが、 おしながきに「もり」しかないときは 海苔が載っていることが多いようです。

西日本では冷たいそばを「ざるそば」あるいは「ざる」と呼ぶのが一般的で 「もり」と呼ぶことはあまりないの様です。 「ざる」と「せいろ」についていえば、 「ざる」と称てもセイロに載って出てくることがありますしその逆の店もあります。

店が「ざる」と称していれば「ざる」、 「せいろ」と称していれば「せいろ」で お客が何も言わなければそれが通り、定着していきます。 店により地域により様々ということなのですが、お客によっても色々です。

店をやっているとき、一見のお客が入ってくるなり「そば」とだけ注文ました。 私が面食らっていると「そばといえばもりに決まっているじゃないか!」とニヤリ。 そうかとおもえば「そば」といえば「かけ」のことというお客もいました。 そういうお客様は店とのコミニュケーションを楽しんでいらっしゃるわけで そういう遊び心も良いと思います。

短冊のようなそばが平打のそばのことか、 太くて短いそばのことかよくわかりませんが 北海道では太くて短いそばを「どじょうそば」と称し、 年末になると年越しそば用にスーパーでも売られています。 もともとは新潟の郷土料理らしく、 北海道は郷土料理のそば(農家の家庭料理的なそば)は 東北日本海側や北陸の郷土料理的なそばの影響が大きく、 黒く短くて太いそばが好まれるようです。

札幌や小樽など都市部のそば屋は東京の更科系の影響が強いようです。 以前は更科そばの袋入り茹で麺もスーパーで売っていました。

一般的でないネーミングをしている店は、 お客様とのコミニュケーションを求めているのだと お考えくださればと思います。 分からないときには店に尋ねてください。 それを怪訝なそぶりや横柄な態度をするような店だったら 立派な店構えで、どんな御託を並べていようと ろくなものではありません。 はったりとごまかしで商売していることが多いです。

「温かいそばつゆ、つめたいそばの、せいろ」といえば 「鴨せいろ」か「鶏せいろ」のたぐいしか思い浮かびません。 ふつうの「ざる」「せいろ」で汁が温かいとすれば 北海道でもかなり特殊なそばだと思います。 以上ご参考になりましたらさいわいでございます。

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