Q&A |
ホームページをご覧いただいた皆様からのご質問です。 |
Q つなぎの小麦粉とたまご |
2014年03月07日 |
つなぎの小麦粉はスーパーで売っている物で良いのですか? 卵を使用する場合そば粉1Kに対しどれくらいですか? |
A 答 |
つなぎの効果は打ちやすくするだけではなく、茹で置にしたときつまりのびたとき切れにくくするあるいは食感を良くする効果をねらったものです。 たまごをつなぎにする、いわゆる卵水つなぎの場合、打ちやすさを実感できるほど濃い卵水を使うとたまごの風味や食感が強く出てしまいます。それも悪くはないのですが普通のそばではなく変わりそばの一種である卵切りそばになってしまいます。 最近は茹でたてが当たり前で、のびても美味しくなんて考えで、打ちやすくなるわけでもない卵水つなぎをするのは、余程の老舗かその流れを汲む一部のお店くらいだと思います。 喜心庵でもそば本来の食感や風味を追求していましたので卵水つなぎはやっていませんでした。 卵水つなぎとはどうゆうものだろうという好奇心でいろいろやってみたことがあるだけですので、参考としていただければと思います。 水500cc〜1000ccに一個の割で全卵をよくとかし卵水を作ります。 卵水を普通の水でするように加水してください かなり大雑把な数字ですが水500ccに2個だとたまごの風味が強く出てしまいそばの風味が負けてしまう気がしますし、水1000ccを超えるとつなぎの効果があまりないような気がします。 粉1キロでしたら加水量からいって水370〜380ccにたまご1個ということになるとギリいけるかもという感じですがご自身で試してみてください。 また、卵黄だけあるいは卵白だけ使うというやり方もありますし、卵黄、卵白の比率をいろいろ変えてみるのもおもしろいです。是非試してみてください。 つなぎに使う小麦粉を割粉(わりこ)といいます。業務用には割粉専用の小麦粉もあります。 残念ながら喜心庵では十割蕎麦を出していたもので業務用の割粉はあまり経験がないのですが、メーカーのいうところではノビが遅く、保存性が高く、コシが出るというのがウリのようです。 店で使う気がないものでちゃんと訊くこともなかったのですが、そういった特徴を出そうとすれば、麺質改良剤や保存料が入っている可能性があるのですが、業務用の食品には添加物の表示義務がないので訊かなければ教えてくれません。 添加物が悪いとは思いませんが素人手打にメーカーの謳い文句が必要か考えてみてください。 打ったその日に茹でたてで召し上がることが圧倒的に多いのではないでしょうか。 コシが出るというのもコシがあまり出ないような良くないそば粉を使ったりコシを引き出すだけの仕事をしなくてもコシが出るということだと思います。 コシが出ないそば粉は打ちやすいし値段も安いので、使うそば屋さんは結構います。 まともなそば粉屋さんは素人にそんなそば粉はすすめません。 イベントかなにかで一日で100人以上対応しなければいけないというのであれば別ですが普通に1〜2kg程度打ってその日のうちに食べて、翌日にまわすにしても冷蔵庫で保管するのであれば必要性は低いと思います。 業務用の小麦粉は20kgあるいは25kgで売買され1kg換算だとスーパーで売っている小麦粉と大して変わらない値段なのですが、1kg単位で小分けされると倍くらいの値段になってしまいます。割高でもプロの使っているものだから美味しいと信じて召し上がる事の出来る才能を持った人は別ですが、いいそば粉を使って手を抜かずちゃんとした仕事をすれば無用なものだと思います。 さて、スーパーで売っている小麦もいろんなタイプがあります。薄力粉、中力粉,強力粉、全粒粉なんて物もあります。全粒粉はおいといて、強力粉はパン用、中力粉はうどん用、薄力粉は天ぷらやケーキ用と大雑把に大別されます。 強力粉は強力とあるだけにつなぎの効果も強力でコシも出ると思っている人もいますが茹でたてのそばのコシはデンプンがメインです。グルテンではありません。グルテンは茹で置にしたときその力を発揮します。 ご存知かもしれませんが小麦粉の中にグルテンは入っていません。 小麦粉に含まれるグリアジンとグルテニンというタンパク質が水分の介在下で反応させると結びついてグルテンとなるのです。 手捏ねでパンを作る人は馴れた手つきで15分以上捏ねグルテンを形成します。グルテンをしっかり形成させないと膨らみが悪いというのもあるでしょうが、しっかりグルテンを形成しておかないと生っぽい小麦粉のような感じがして美味しくないからです。中力粉を使う、うどんでも同様の理由でしっかり踏みます。 グルテンの形成を助けるためパンやうどんは塩を入れますが塩を入れない手打そばで強力粉を使う場合はとにかくよく捏ねてください。そば屋さんの中には体重をかけて練る人もいます。 私のお勧めは一般的な薄力粉です。日清ならフラワー,ニップンならハートです。 これらは薄力粉といっても中力粉に近くうどんも打てる小麦粉で欧米風にいえば、ALL PURPOSE FLOUR 多用途小麦粉です。 こういった小麦粉は各メーカーのフラッグシップ的な位置づけですから どこでも売っているし品質も高いレベルで安定して価格も手頃です。 割粉以外の料理に幅広く使えるので消費も早く鮮度の良い物が使えます。 もちろんつなぎとしても充分その役割を果たしてくれます。 強力粉ほど捏ねる必要もありませんし体重をかけて練ると逆に切れやすくなることもあります。 |