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御膳返し

2014年08月20日 

  HPおもしろく、また参考に拝見させていただいてます。 石川県に住む蕎麦好きの男です。

といっても「蕎麦通」というわけではなく、 最近「かえし」と「出汁」でそばつゆを作り始めたばかりのものです。 その中で、分からない部分があり、メールしました。

なんとか、そばつゆは市販のものより納得のいくものが できているのですが、「御前返し」というものを知りまして、 それを作りたいといろいろ検索をかけてみました。 が、作り方が分かりません。 「かえしに同量の味醂等を加えたものが御前返し」でなかろうか、 というところまでは分かったのですが、

・加えた後に火を通すのか、

・どれくらいねかすのか、

・同量の味醂では甘すぎやしないか、

など、どうも作ってみようという段階に進めません。 教えていただけるところまででよいので、 ご指導いただけないでしょうか。 よろしくお願い申し上げます。

 答

  喜心庵のホームページをご覧いただきありがとうございます。

御膳返しも昔のもので、今では使っているところはほとんどありません。 私の知る範囲では1軒だけです。 札幌のさる老舗のお蕎麦屋さんが使っているのを見たことがあります。

そのお店では普通のもりそばのツユに、 甘く作ったかえしをごく少量混ぜて笊そばのツユにしていました。 御膳かえしを加える量はごくわずかなので、 作った本人でもどっちがどっちか判らなくなるほどでした。

新島繁の『蕎麦の事典』にも、 「辛汁にこれを加えてざる汁をつくる」と書かれていますから、 そのお店のやりかたは伝統的なものだと思います。

そのお店の御膳かえしを加える量が少なかったのは、 笊そばに海苔をかけていたからでしょう。 海苔で味が濃くなりますから、 かえしをたくさん入れると美味しくないのかもしれません。

ちなみに。 江戸時代の笊そばには海苔をのせていませんでした。 御膳返しが廃れたのは、海苔をのせるようになったからではないかと、 私は思っています。御膳返しで濃くした汁に、 さらに海苔で味を濃くしたのでは 味が濃すぎてお客が顔をしかめたにちがいないと思うのです。

さてご質問の

・加えた後に火を通すのか、

作り方は私にはわかりません。 例のお店でも御膳返しを作るところは 見せてもらえませんでした。 たぶん、 煮てアルコールを飛ばしたみりんを 返しに加えただけだと思います。

・どれくらいねかすのか、

わかりません。 例のお店でも返しを作るところは 見せてもらえませんでしたので。 私の推測ですが、 すでに出来上がった返しがベースですから あまり寝かす必要もないかと思います。

・同量の味醂では甘すぎやしないか、

すでに出来上がっている盛り蕎麦用の汁に足すのですから 過ぎるというほどには甘くはならないと思います。

 

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