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ワラビ餅のようなコシがある蕎麦

2015年05月28日 

  はじめまして。こんにちは。*****と申します。よろしくお願い致します。

私が悩んでいるのは、仕上がりがゴリゴリした固い蕎麦になってしまうということです。私が目指している食感は、蕎麦を啜った時にヌメっとしていてフワッとソフトでそれでいてワラビ餅のようなコシがある蕎麦です。

そのように打てる時もたまにあるのですが、大体はゴリゴリした固いだけの不味い蕎麦になってしまいます。ですから最近は1ミリ角位に細く打ち細く締まった蕎麦に仕上げております。それでも揚げ時間は55から1分かかってしまいます。

前述したように上手く出来たな、と思う時は多少太くても45秒くらいで揚がります。 他の方にもお聞きしましたが、水回しの原因大、あるいは締める水の温度じゃないか、と言われまささたが、正直納得できておりません。

1ミリ角位に細く完全に仕上がった時はまだ食えますが、少しでも太くなろうものならやはりゴリゴリした固い蕎麦になってしまいます。必然的に延し切りを慎重にやらなくてはならないのでそれらは上達して良いな、とは思いますが、どうしても自分の理想の食感の蕎麦に常に仕上げたいです。 水回し丁寧に、加水を増減させても変わりませんでした。 アドバイス頂けたら幸いです。

 答

 喜心庵のホームページを御覧いただきありがとうございます。

はっきりした好みがあるというのは良いですね。 残念ながら、わらび餅をイメージするようなそばを食べたことがないので見当違いの内容になるかと思いますが、拙い経験と知識を総動員してお答えしますので ご容赦下さい。

まず粉について考察してみます。 そば粉に限らず小麦粉や米粉にもいえることだと思いますがキメの細かい方が モッチリした食感になります。何も注文をつけなければそば、粉屋さんは一般的な 60メッシュの粉を出すと思いますが、70メッシュ80メッシュの粉を扱うとこ ろもあるかと思います。

割粉つまりつなぎに使う小麦粉ですが強力粉や手打ち専用の割粉をお使いの場合であれば、うどん用中力粉か普通に売られている薄力粉を使ってみてはいかがでしょうか。「おいしいそばイコールこしのあるそばイコール硬いそば」という公式があるようで手打ち専用の割粉にはグルテンや増粘剤、麺質改良剤などを添加して硬さを出す工夫を盛込んでいるものが多いようです。

つなぎというのは打ちやすくするというのが一般的ですが、のびても切れ難くするとか、うま味や風味を繋ぎ止める、封じ込める効果もあるように思います。出前やそば弁当などを多 く手がけるところや、あまり表に出したくない味やにおいのあるそば粉を使うのなら専用の割粉や強力粉は重宝すると思いますが、そんなに悪くないそば粉を使い、茹でたてで召し上がり、なおかつ硬すぎるのがイヤだというのであれば不要かと思います。

だだしうどん用小麦粉も硬さを追求するものもありますので、グルテンを添加していないもの、粗タンパクが9%未満のものを選んだ方が良いと思います。

木鉢仕事は完璧にこなしておられるようなので、茹でについて考察してみます。 1分以内で茹でるように心がけておいでのようにお見受けします。 なぜ、1分あるいは45秒なのでしょうか。 もし硬いと感じるなら長めに茹でてみるというのが普通だと思います。 硬さ=コシ=旨いそば、という公式にこだわりがあるのならやむを得ませんし、 悪いそば粉を使っていたり手抜きのそば打ちをされているのなら、切れないうちに引き上げる、変な臭いや味が出ないうちに,あるいは急激にコシをなくしたり、麺の表面が荒れる前に引き上げなくてはなりませんが、そうでなく、自分の ためのそばであれば、好みの硬さになるまで茹でてみるというのが常道だと思うのですが。

新島さんというもう亡くなられた老舗のそば屋のご主人が書き残された文のなか に「茹ですぎはそば屋の恥ではない」というのがありました。良い粉を使って ちゃんとした仕事をすれば上記のようなことはないし、忙しさに追われて生茹でのそばを出すぐらいなら少々茹ですぎぐらいがよっぽどましということだと思います。 新島さんのはなしの後で、私事で恐縮ですが、以前お店におじいさん、おばあさ ん、おかあさん、そして5、6才のお子さんというご家族がお客としてみえられ ました。お子さん以外のお客様はおいしいと言って召し上がっていただけたのですがお子さんが食べ難そうにしているのです。

ウチの店は「おじいちゃん、おば あちゃんがお孫さんを連れて来てくれるような店」をめざしていますし、出来れ ばそのお孫さんがウチのそばで、そば好きになってくれたらありがたいと考えて いますのでショックでした。その時は1分程度茹でたそばで、生茹でではないの ですが硬さも強調したそばでした。冬の水が冷たい時季でもあり、ひとによっては硬すぎると感じることもあるだろうと考え、今はより食べやすく、硬さもある程度実感できる1分半茹でにしています。

ある程度茹でた方が香りや甘みがよく出ると思いますが、そばに硬さのみを求める方もいらっしゃいますので硬いのが好きというお客にはご注文のときに言ってくだされば40秒程度で若干芯の残る いわゆる水分傾斜の大きいそばをお出しするようにしています。

釜の性能や粉によっても違いますので一概に何分茹でるべきとはいえませんが、 悪くはない粉で、手を抜かずに打ったそばなら5分茹でても切れることはありま せん。さすがに角はつぶれて表面は荒れてしまいますが。

硬さを出す茹で方に早煮えというのがあります。そばを湯にいれても沸騰状態を 維持できるような状態で表面を糊化させ中心部に水分が浸透し難くして水分傾斜を大きくする方法です。さらしなそばなど細打ちでコシを出す必要があるとき使う方法です。太めのそばを茹でるときなどにするのですがそばを入れると一旦沸騰が止み10数秒から30秒ぐらいで沸騰が復活するように茹でると水分傾斜が小さくなります。

硬さを出す方法としては釜からあげたらすぐに冷水に入れて出来るだけ早く硬化させそれ以上水分が入らないようにします。昔ながらの普通のそばのやり方だと そば全体が空気を触れさせるように湯切りをして,冷水をぶっかけて粗熱取りをして、冷水につけて良く締めます。後者の方が水分傾斜が小さくなります。

そばはやり方の違いで違いが出てくるものだと思います。色々やってみて違いが 出たら好みの方を採用すればいいわけですし、違いが出なければ楽な方あるいはコストの安い方を採用すれば良いと思います。世の中にはどこそこ産のそば粉を使っているから旨い、後は出来るだけ早く楽にやれば良いという人がいて、そういう人の中には、そんな事で違いが出るわけないと言いながら、自分のやり方が 一番旨いと矛盾することを能天気にいう人もいます。人それぞれでそれも良いの ですが、**様のようにご自身の好みを持って悩まれている方を尊敬致します。 そのお力になれれば良いのですが自分もまだまだ悩みの多い毎日を送っていますので明確なお答えが出来なくて申し訳ありません。

全く見当違いのことだと思いますし私も食べたことがないのですが、吉野そばというものが江戸時代あったそうです。葛粉を葛湯のように糊にしたものをつなぎに使ったそばで、結構評判だったそうです。葛粉やわらび粉の代用として使われるサツマイモデンプンを使えばわらび餅のような食感が出やすいかもなどと考えてしまいました。

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