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空気を抜く事で、味がどの様にかわるかという御質問ですが、味のよしあしと言うよりは、気泡が入っていると打ちにくくなるということなのです。
そばの生地に、大きな気泡があると、
延すとき麺棒や台にくっついたり、
そこから裂けたりしますので。
さて、
そばを打つとき、空気を抜くという説と
空気を含ませるという説があります。
そばをこねるとき空気を抜くという人の中には、
陶芸の土こねと混同してる人もいるようです。
陶芸の菊練りは陶土から空気を抜くのが目的で、最低でも30分長いときは1時間以上練るそうです。
ここから、そばも空気を抜くためにこねると、
勘違いしているようです。
陶芸の菊練りとそばの菊揉みの動作が似てるので
余計に混同して陶芸の菊練りをそばに対してやってる人も見ます。
空気抜きのための陶芸菊練りでは
あまり「そばをこねる」効果はありません。
陶芸の菊練りでは、逆に切れやすくなってしまうこともあります。
では、空気を抜く作業はどの工程でしますかという
御質問の答えですが、
そばの場合は、こねるとき、
「気泡を入れないようにこねる」
「気泡を見つけたらつぶしておく」
というのが正しいと思います。
さてもう一方の、空気を含ませる説ですが、
こねるときに空気を入れるというのではありません。
水回しの段階でそば粉と水と空気を混ぜるのです。
気泡を生地に入れることではありません。
粉と水と空気が均一に細かく混ざった状態です。
顕微鏡で見ると粉と粉の間に粉よりも小さな気泡が
入っているというようなレベルです。
こういうそばを打つ人の水回しは、
木鉢の中でそば粉全体がダイナミックに踊るように動きます。
打つ人の体の軸がぶれず、無駄な動きもありません。
そういう人の打った蕎麦は美味しいです。