喜心庵のホームページをご覧いただき
まことにありがとうございます。
かえしで砂糖の種類での味に違いは当然あります。
違いはあるのですが、結局は好みの問題かと思います。
純度の高い砂糖の方がいいという人がいますが必ずしもそうともかぎらないのではと私は思ってます。
足利一茶庵の創業者、片倉康雄の著書『手打ちそばの技術』という本には、著者片倉康雄の少年時代に砂糖配達の仕事していた戦前の思いで話として、ほとんどの蕎麦屋は黄ザラメで、場末の駄蕎麦屋になると赤ザラメ、白い砂糖は一部の高級店でしか使っていなかったと書いています。
この本は、そば屋のみならず、料理研究家、グルメ評論家などにもよく読まれていましたので、それを読んだ人が純度が高いほど高級というふうに本や雑誌に書いたことが純度信仰の原因ではなかろうかと思っています。
実を言えば、今は製糖技術が進歩しましたので、 普通のグラニュー糖でも昔の氷砂糖並みの精製度があります。
上白糖も、高純度の砂糖ですが、
それに転化糖液を添加していますので数値上の純度は若干下がります。
ちなみに氷砂糖を返しに使うというのも、
この『手打ちそばの技術』に書いていることなのですが実際やってみると、なかなか溶けなくて大変でした。
ぶっちゃけたことをいえば、この本が書かれた当時の一茶庵では氷砂糖は使っておらず上白糖を使っていたそうです。
氷砂糖うんぬんというのもどうやら一茶庵のハッタリだったのかもしれません。
あくまでも好みですが
味のちがいといえば、
砂糖とダシとの相性もあると思います。
鰹本枯節のようなクセの少ないダシには純度の高い砂糖があいますし、
宗田節や荒節のように個性の強いダシだと
純度の低い砂糖があうような気がします。
純度の問題というよりは三温糖や赤ザラメには
カラメルを添加しているものが多いので、
カラメルの香りが関係しているのかもしれません。
上白やグラニューは移り香しやすいので
移り香を嫌ってザラメを使う蕎麦屋もあります。ニオイの強いものの近くに置かないようにして移り香を防げば
上白やグラニューでもじゅうぶんだと思います。