Q&A   
ホームページをご覧いただいた皆様からのご質問です 
 そばが溶けるような感じがする
2010年 3月14日 

 以前四つだしのことで質問させていただいた*****と申します。その節は温かなアドバイスをいただきありがとうございます。折りにふれホームページを見せていただいております。

 2、3質問させて頂いてよろしいでしょうか。  生粉打ちのお蕎麦をゆで食べる段になると、お蕎麦が溶けるような感じがあると主人に言われました。毎回ではないのですが、お蕎麦をつゆにつけると白く濁ります。洗う際は水を流しながら2、3度ボールのお水を替えていますが、洗い方の問題なのでしょうか。

 もうひとつはお蕎麦の切りについてなのですが、先の方が幽霊のしっぽのように(しっぽというのでしょうか・・・)なってゆきます。押し切り、落とし切り、擦り切りということの違いがよく理解できません。押し切りとはどのような切り方なのでしょうか。擦り切りとは違うのでしょうか。

 また、喜心庵さまはお蕎麦の打ち方を個人にも教えて下さるのでしょうか。お時間が許しましたら、お教えいただけると幸いです。  道北も大分雪融けがすすみました。季節の変わる中にあってご健康をお祈りさせて頂きます。失礼いたしました。

 答

時々、喜心庵のホームページをご覧頂きありがとうございます。 ご質問の件、お役に立てればよいのですが、 精一杯お答えさせていただきます。


汁が白濁する場合、味や食感に問題があるのでしょうか? そばの甘み旨味は水溶性たんぱく質や水溶性デンプンです。 粉によってあるいは捏ねが足らないときにそば表面に出ることがあります。 そば粉の質が良ければ甘味旨味を強く感じるそばになります。 東京の某名店のそばがそんな感じでした。

そばが溶けるような感じというと、そばのデンプンが充分に糊化していない、いわゆる茹でむらの場合と茹ですぎの場合が考えられます。茹でむらはどういうときに起こるかと言えば、

  • 茹でる温度が低い場合
  • 極端な粗挽きの粉を使った場合
  • 打粉に普通のそば粉を使用した場合

などがが考えられます。 そばのデンプンは米や小麦のデンプンより高い温度で糊化します。 ただしそばのデンプンは糊化しなくても 消化吸収できるという特徴がありますので 健康上の問題はあまりありません。 私は歯切れが悪く粉っぽい感じがするのであまり好きではありませんが、 好む方もいらしゃいます。

50メッシュ以下の粗挽きそば粉も 茹でむらの原因になり易い傾向があります。 メッシュというのはふるいの目の大きさを表す単位で 数が小さいほど目が粗くなります。 たとえば50メッシュのそば粉と言った場合 50メッシュのふるいの目を通る粉の粗さです。 一般的には60メッシュ台が標準で、 粗引きは50メッシュ台、細挽きは70メッシュ台です。 あくまでも目安で、ふるいのメーカーによって若干違いがあります。

50メッシュぐらいで指先に粒を感じるくらいで、 60メッシュや70メッシュと見た目の違いはほとんどありません。 見た目で分かる粗挽き(20メッシュから30メッシュ位)を 使うのが流行してますし、ふるいにかけない粉を使う場合もあります。 こういう20〜30メッシュの粉で打ったそばは 火が通りにくく茹でむらになりやすいのです。

好みもありますがこういう粉は小麦粉を3割から5割まぜたほうが食べやすいし、 しっかり茹でられると思います。 茹ですぎは、表面が白っぽくなったり角が白くなったりし 角が無くなってしまうので一見して分かりやすいと思います。

そばは、水を多く含んだ方が甘味風味が強くなります。 好みですが、若干茹ですぎの方が美味しいかと思います。

余談ですが店をやっていたとき、コシと甘味両方が楽しめるように わざと切り幅を不揃いにする乱切りに凝った時もあります。 包丁で乱切りにするより延しむらを敢えて作った方が良かったように思います。 ただ太いそばと細めのそばの割合が難しく、 それに太打ち向きの粉を挽いてくれる粉屋さんがあって 太打ちを長めの1分半ぐらい茹でたそばを太打ちそばとして出していました。 一部のマニア的なお客様にご支持を頂きました。含まれる水が多い方が甘味や風味が強くなる反面、硬さが減じます。 どちらをとるか、あるいはどのあたりにバランスをとるか好みによります。

洗い方でそばが溶けるような感じになるというのは、考えにくいです。 ただアルカリイオン水をそば打ちや茹でたり、洗ったりするのに使うと 麺の表面が荒れることがあります。 そばやうどんには中性か弱酸性が良いと言われています。

包丁の使い方には色々個性もあります。 柔らかい生地を好む人で早く切る人は そばの端が細くなったり三角になったりする人が多いようです。 名人と呼ばれる人でもそういう打ち方をするのを見たことがあります。 その人の場合は、端っこを切り捨てていました。

押し切り、落とし切り、擦り切りですが、 そのような言葉を寡聞にして存じませんでした。 そば打ちの用語は地方色もあり、 また人や店によって呼び名も違い、 統一されていないものあります。 なんとなく、 ああ言う切り方りのことを言っているのだろうという想像はできますが、 同じことを言っているのかどうかは自信ありません。

落とし切りは、一般的には「落とし包丁」といわれるものだと思います。 垂直に包丁を降ろすのでこの様に言われます。 硬かったり、柔らかかったりする生地や脆い生地あるいは、 うどんのように弾力のある生地を切る時に使います。 先端が(ゆうれいのしっぽ?みたいに)細くなったり 広くなったりすることが少ないと思います。

上下運動だけですから、早いリズムに乗って切るのが、かえって難しく また包丁と切り板が真っ直ぐでないと完全に切れないなどの難点があります。 擦り切りは、たぶん「すり包丁」と言われるものだと思います。 押すように切る普通のそばの切り方で押し切りと言う人もいます。 が同じ人が意図的に使い分けている場合、多分違う切り方を 言っているのだと思いますが、どう使い分けているのか分かりかねます。

 そば打ちの指導させていただくのは、やぶさかではありません。 ただ、残念ながらいまは店がありませんので 設備やスペースの点で、私どもの自宅でご指導するのは難しいです。

それと、そば打ち検定の昇段試験対策でしたら、 ある程度お手伝いはできても、あまりお役にたてないと思います。 検定試験には審査基準があるみたいなのですが、 私のはその基準がよく理解できません。 打つ人の個性なのだから、なにもそこまで厳しくしなくてもと 思うようなところまで減点対象になっているところもあり、 型にはまったそば打ち段位取得の為の指導には 自分自身向いていないよう思います。

以前にも書いたことがあると思いますが、 そば打ちは料理の一過程であって、型よりも味が大事、 個々の人のそば打ちがあってよいというのが信条ですから、 個々の人が思い々々のそば打ちを楽しめばよいと考えております。

指導というより、そば打ちを楽しみたい、そばのことをもっと知りたい、 そばと向き合いたいというのであれば微力ながら どのような形にせよ喜んでお手伝いさせていただきます。


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