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そばの切り方で悩んでいます
2010年11月 3日 

 切りで、2つのことに悩んでいます。

(1) 達磨の高橋さんのような、前に押し出す切り方をしていますが、 切った後の麺が1本、包丁にくっついて前に2センチ程度、飛び出すことが あります。
   
(2) 切り進んで、麺体の最後3センチ位になると、麺帯が駒板と一緒に滑るため か、数ミリ程度の幽霊のような麺に仕上がってしまいます。

以上の2点を解決策があるでしょうか。

 答

 当ホームページを御覧頂き有難うございます。

そばを打つ目的は,趣味,段位取得,商売あるいは,誰かに指導するためとか様々です。そば打ちに対する考え方もそれぞれだと思います。 私自身は,そば打ちはそば料理の一部,下拵えであり,料理の目的は食材を食べ易くすること,食材は命であり,その命を無駄にすることなく食べる人に繋がなければならない。という考えです。その立場で答えることをお許し下さい。

ご質問の件ですが,問題があるとは思えません。2cm飛び出したからといってそのそばが食べられなくなるのでしょうか。食べるために打ったそばならば,何の問題もない事だと思います。 2番目のご質問について のこり3cmまできれいに切れるというのはたいしたものです。残念なことですが,端の10cmぐらいは捨てる人も少なくありません。

『カッケ』という郷土料理が東北にあります。そばの端を無駄にせず適当な大きさに切って鍋物や汁物の実にしたのが始まりだそうです。

幽霊になっても十分おいしく食べられるのではないでしょうか。幽霊そばと名づけたら粋な感じもします。食材を無駄にしないということであればこれで十分だと思います。 もしも,事情があって解決しなければならない問題だ,あるいは性格的に問題にせざるを得ないというのであればご自身で工夫されることをお勧めします。

達磨の高橋さんは数年おきぐらいにマスコミに出られますが,その都度打ち方が変化しておられます。それは高橋さんが名人の称号に驕ることなく常にそばと向き合い,そば打ちを工夫されているからだと思います。そば打ちの形にこだわるのではなく,真摯にそばと向き合う姿勢こそが名人,達人の名に値する方だと思います。

直接問題解決に通じるものではないかもしれませんが,以下は工夫されるときのヒントにでもなればと思って記すものです。読み飛ばしてくださっても結構です。

(1) 達磨の高橋さんのような、前に押し出す切り方をしていますが、 切った後の麺が1本、包丁にくっついて前に2センチ程度、飛び出すことが あります。

水回し,こね,いわゆる木鉢仕事が不十分とか,加水量が気持ち多いとかいろいろ原因が考えられます。また早打ちをする人に多いのですが生地の内側に斜めに包丁を入れるように切る人がいます。 このような切り方をすると切ったそばを引掻けるというか,しゃくり上げる様な形になり前に飛び出し易くなります。高橋さんも,そばをきれいに前に飛び出させて(はね飛ばして)揃える切り方をしていた時期があります。

木鉢仕事で改善の余地が無い,切り始めてそういう状況になったというなら,打粉を多めにするというのが場当たり的な対処法です。 ただし昇段試験を目指しておられるのならご注意下さい。私自身は昇段試験の基準がよく分かりません。が打粉が多すぎるあるいは追加で施す行為が減点対象になることがあるかもしれません。

(2) 切り進んで、麺体の最後3センチ位になると、麺帯が駒板と一緒に滑るため か、数ミリ程度の幽霊のような麺に仕上がってしまいます。

駒板を押えるとき,親指と人差し指を枕にくっつけるようにして,駒板のガタツキを抑えるというのが基本なのですが,これも昇段試験であればご注意下さい。枕に近いところを押えると危険ということで減点対象になるかもしれません。 いろいろ工夫するのもそば打ちの楽しみです。これからもそば打ちを楽しまれることを祈念します。

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