あけましておめでとうございます。
喜心庵のホームページをご覧頂きありがとうございます。
もうしわけございませんが送信エラーでメールでのお返事ができませんでした。
ご質問の包丁についてですが,
最後に包丁を買ったのは10年以上前のことですし,
ネットで包丁の通販サイトを覗いてみたのですが,いっぱいありますね。
初めて包丁を買った20年ぐらい前のことを考えると,
隔世の感があります。
あのころは,そこそこの地方都市でも,
そば包丁なんて扱うところは少なく,
扱っていても,選べるほどの品揃えも無く,
包丁の柄について訊ねても,
「柄は自分で紐を巻くもの」なんてましなほうで,
こま板はないかと訊いても,
「なにそれ」なんていう刃物店もありました。
しかたなく,東京のかっぱ橋まで行きました。
初心者であり,そば道具を買いに東京まで来たと告げると,
そば包丁の選び方,手入れの仕方も教えてもらいました。
最初から,高級品を選ばない方がいいとか,
そば包丁は,バランスが大切だから,手に合うものが一番とか,
教えてもらい,幾つもの包丁を握らせてもらい,
18000円のそば包丁としては,安い包丁を,売ってもらいました。
その店は,かっぱ橋の中でも比較的安い店で,
同様のものを他店では,25000円から30000円位はすると思います。
■ バランスが大切
そば包丁は特殊な包丁なのでほとんど手作りです。
ですから,同じタイプの包丁でも微妙にバランスが違っています。
標準的なもので7〜800g,1s越えるものも珍しくありません。
バランスのいいものだと,重さを感じさせません。
バランスの悪い包丁は,無駄に力が入ってバラつきの原因にもなります。
バランスの良し悪しは,使う人と包丁の相性ですから,
どういうのが良いとは言えません。
私自身は
握って手に馴染むもので,
握って人差し指が当たるところから指一本分ぐらい刃先に重心がある,
若干頭が重い包丁が好きです。
人によっては,人差指のあたるところに重心がきた方が良いという人もいますし,
若干手前に重心がきた方が良いという人もいます。
指一本分ぐらいでしたら,握り方を前後すれば対応できます。
■ 刃
材質は,どんなのでも構わないと思います。
そんなに硬いものを切るわけではないので,好みで選んでください。
ただ特殊鋼だとほとんど砥がなくてもいいのですが,
砥ぐときに,大変です。
特殊な形状ですから,砥石で砥ぐのは,刃物の専門家で無いと無理です。
普段の手入れはセラミックや鋼のやすりで出来た,
棒状の包丁用シャープナーを使うのですが,
特殊鋼は,セラミックでもほとんど砥げず,ダイヤモンドやすりが必要です。
最近はダイヤモンドやすりもホームセンターでお手軽な価格で売ってはいますけど。
形状としては,刃が真っ直ぐなもの。
さすがに湾曲したものは見たことありませんが,
微妙に波打っているものや,平面に刃を当てると隙間が出来るものがあります。
波打っていると,こま板を薄く削ることもあります。
隙間が出来ると,切れずにつながったそばが大量に出来ます。
この程度なら,専門店で買うとその場で修正してくれます。
通販で買う場合,修正などに応じてもらえるか,
あらかじめ確認された方が良いと思います。
■ 柄
紐を巻くタイプ,木の柄のタイプ,鮫皮があります。
これも好みです。
私自身は,鮫皮がすべりにくくて使いやすいと思います。
最近は下に湾曲した木製のグリップが流行のようです。
このタイプは,片倉康雄さんが考案し,
その弟子の翁,達磨のご主人の高橋さんが流行らせたタイプです。
湾曲した木製グリップは何らかのすベり止め対策をしていないものは打粉のついた手では,滑りやすいので気をつけてください。
片倉流(一茶庵流)は随所で手を洗うのが基本ですし,
片倉さんの包丁の柄は滑りにくくするために,漆を施しています。
このタイプのグリップに滑り止めの,包帯や糸を巻いて使っているのを見かけたことがあります。
道具は使うための工夫も重要です。
■ 価格
そば包丁の値段は,数千円から数十万円までいろいろあります。
一万円以下のものは,そば包丁の形を真似ただけで,
なぜ,ああいう形をしているのか分からずに造っているようなものもあり,
使いにくいものもあリます。
結局は,好みと懐具合で決まります。
プロを目指すのであれば,予備も含めて2本以上持つべきだと思います。
プロなら道具をケチるべきではありませんが,最初は余り高くないもので,
自分自身の癖や好みを包丁のことを学んでから選べばいいのです。
趣味のそば打ちなら,初めからご自身の好みで選んで構わないと思いますが,
クレームにも誠実に対応してくれる専門店で購入されるのが宜しいかと思います。