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そば店が水切り後に時間を取るかというお尋ねですが,
店によると思います。
水切りという概念をお持ちで無いお店や,気になさらないお客様もいらっしゃいます。
水切りを省略したそばをみずみずしいと褒め称えるお客様もいらっしゃいます。
水切りのための時間を取る店といっても,
ざるにあげて放って置くわけではありません。
水切りのための仕事をする時間を取っています。
水切りのための仕事も店により,状況によりいろいろありますが,
主なやり方は溜ざる(ためざる)を使う方法と,
振ざる(ふりざる)を使う方法の二つあります。
溜ざる法。底の平らな浅いざるを使いこれを溜ざるといいます。
洗い終わったそばを洗いざるにあげて,
溜ざるに一口分ずつちょぼ盛にして水を切ります。
ちょぼ盛ではなく1人前分以上を一手盛(ひとてもり)で溜ざるに置く店もあります。
スペースや人の配置などで厨房設計の段階で考慮していないと
遣りづらい場合がありますが,きれいに食べ易い盛り付けが出来ます。
振ざる法。そばを温めるときに使う振ざるを使う方法です。
一枚分のそばを振ざるにとって振って水気を飛ばします。
そばとそばの隙間がなくなって,盛り付けがベチャとした感じになったり,
ほぐれにくて食べにくくなったり,床やまわりに水を撒き散らしたりしやすく,
きれいに食べ易く盛るのは技術が要ります。
その他に,洗いざるの底を手のひら全体で数回軽く叩いてやる方法や
盛り付けのときに水切りをしながらそばを取る方法などあります。
溜ざるや振ざるをつかったばあい更に時間を置く事はあまりないと思います。
特に溜ざるを使う場合水が切れすぎる事があります。
そのときは盛り付け後指先につけた水でかるく水をつける事があります。
これを化粧水(けしょうみず)といいます。
ある程度水気がないと箸で取りにくいし、食べにくいからです。
さらしなの10割そば,生一本を打たれておられるとか。
あの食感にはまると,たまりませんね。
さらしなそばは,普通のそばに比べてのびの遅い,のびにくいそばですから,
1ミリ以下のよほどの細打ちでなければ,
10分やそこらでのびることはありません。
アクの強い田舎そばなどは,のびると極端に味が落ちますが,
さらしなそばは,アクの無いそばですので極端に味が落ちることもありません。
いいそばは洗わなくても良いということききますが,
さらしなそばはその代表的なそばです。
余談ですが,不思議なことに,いいそばは洗わなくてもいいなんて豪語するそば屋でいいそばに出会ったことはありません。
本来洗い流すべきそばのアクといいますか,ぬかくささをそばの風味として尊ぶお客様もいらっしゃいますのでそれはそれでいいのですが...
さらしなそばはそばのアクに当たる部分もきれいに取り除いたそばです。
洗うことより,しっかりしめることに重きを置かれるほうが良いと思います。