Q&A   
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茶そばの打ち方

2011年 3月10日 

 喜心庵の教えが分かりやすく、私にとっての師匠です。本当にありがとうございます。

二八そばを書物などで勉強して打ち始め1年が経ちます。なんとかそばらしきものが出来るようになりましたので、夏に向けて茶そばを打って見たいと考えております。

更科粉で打つのはとても難しそうですので、ふつうの二八そばに抹茶を溶かした水を使用したら、そばにはならないのでしょうか?

更科そばを打つ場合は必ず湯ごねが必要になるのでしょうか。

素人でも茶そばを打てる方法をご教示下さい。

 答

 喜心庵のホームページをご覧頂き有難うございます。

お返事が遅くなって申し訳ありません。 2011年3月11日の地震で通信が混乱していたようで3月13日までネットがつながりませんでした。ご質問者様のお住まいの地域が何事も無ければよろしいのですが。

普通の二八そばを抹茶を溶かした水で打ってもそばは打てます。 更科粉を使うのは色が鮮やかなのと,お茶の風味をそばが邪魔しないからです。

よりさっぱり感を増すために,普通のそばに抹茶を混ぜるのはよくあることです。 茶そばは古いそば粉や質の悪いそば粉を誤魔化すものだと嫌う人もいます。 が,わたしはすべてがそういうものだと思いませんし, 質の悪さをごまかすものだとしても, それは,なんとか,おいしく食べるための工夫だと思います。 本当に誤魔化す事が出来れば、立派な「技」です。そば打ちは料理の工程の一部ですから, 料理の目的として食べる人の好みでいかようにもなさってください。

ただ,抹茶を水に溶くのは大変ですから, あらかじめ,粉に抹茶を混ぜた方が楽だと思います。 もっとも最近は,水でも溶けやすい顆粒状の抹茶もあります。

更科そばは必ずしも湯ごねが必要なわけではありません。 実際湯ごねをしないそば屋や製麺業者はたくさんあります。 更科粉の湯ごねは,水では粘りが出ないので, 熱湯で更科粉の一部を糊にしてその糊をつなぎとして利用する方法です。 熱湯を使わなければ,糊に代わるつなぎを加えてやれば良いのです。

湯ごねをしないそば屋等でよく使われる方法としては, 小麦粉を5割から7割混たり,卵白や山芋を使ったりします。 これらを組み合わせるやり方もあります。 また,製粉業者によっては,水でもつながるように あらかじめ水溶性デンプンとか増粘剤を添加した更科粉を扱っている所もあります。

素人にも簡単に打てる茶そばというのは 普通の二八そばに抹茶を加えるのであれば,難しくは無いと思います。 抹茶が水を吸うので、若干水は多めに必要ですが 大した量ではないので最後の微調整のときにちょっと気に掛けておいてください。

更科粉を使うのであれば,小麦粉を6割以上混ぜることです。 そうすれば二八で打てる方なら水で打てると思います。 更科粉と小麦粉と抹茶を予め混ぜておいて二八の要領で打ってください。 普通のそば粉に比べ更科粉の方が加水率は大きくなりますので、その点、気を留められて、 状態を見ながら水回しをしてください。

小麦粉をたくさん混ぜることをバカにする人もいますが, そば打ちは料理の工程の一部ですから,つなぎ目的で小麦粉を入れるのなら, つながるまで入れてやればいいのです。 そば粉が8割だから,10割だからといって尊ぶ根拠はありませんし, そば粉が5割,3割だからといって蔑む根拠もありません。 食べる人がうまいと満足すればそれで良いのです。

余談ですが喜心庵では生粉打ち,10割のそばを基本にしておりましたが, お客様から,訊かれなければ10割だとは言いませんでした。 後に10割は嫌いだというお客様がいらして,表示するようにはしました。

更科そばの茶そばでも二八にこだわるのであれば, 卵白や山芋をつなぎにしてください。

どこのご家庭にもあると思いますので,卵白つなぎを簡単に説明します。 卵白1に対して水1〜2ぐらいで卵(白)水を作ります。 卵白が濃い方がつなぐ力があります。 ですから水無しの全量卵白でも構いません。 卵白の濃度に極端にこだわる必要はありません。 卵白を使うと食感や風味が違ってきますので, つながる濃度で,好みの食感風味をご自身で見つけてください。 その卵白(水)で普通のそばを打つ要領で打ってください。

配合比率の上では卵白は水と一緒と考えてください。 その上でたぶん一番知りたいのは加水率だと思いますが, 粉によってまた諸条件で違うので固定した数字は言いかねます。 ただ,更科粉は普通のそば粉より多く水が必要です。 加水率は重量比で53%プラスマイナス3%の間に大体おさまるとは思いますが, 例外もありますのであくまでも目安としてください。

山芋を使う場合も基本的には卵白と同じですが, 山芋は種類によって粘りが全然違いますのでいろいろ試してやってみてください。 山芋,卵白両方使っても構いません。

素人の方はいくらでも失敗出来るという大変うらやましい環境にあります。 失敗から学べるというのが素人手打ちの良いところです。 極端な言い方をお許し願えば、 プロに弟子入りすると師匠を通してしか、そばを見られない環境になります。

師匠がダメということを敢えてやってダメな理由を体験することはなかなか出来ません。 ですからプロの中には先鋭的な考え方で, 自分の遣り方以外を否定する人も少なくありません。

素人の方のほうが色んな打ち方を学べる機会が多く, それだけ幅広く多角的にそばと付き合うことが出来ます。 もし失敗の理由がよく分からないときは,何度でもお気軽に質問してください。 お待ちしております。

もし環境が許すならば,湯ごねにも挑戦してみてください。 湯ごねも含めて,そば打ちは慣れですから, 何度か失敗を重ねる覚悟があれば,必ず打てるようになります。 湯ごねが出来るようになればそば打ちの幅がかなり広がります。

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