Q&A |
ホームページをご覧いただいた皆様からのご質問です。 |
Q玄そばの保存方法 |
2012年 9月 2日 |
いつも適切なアドバイスありがとうございます。 今回は、玄そばの保存方法について相談させて下さい。 先日、昨年の秋に購入した玄そばを製粉していただきましたが全く蕎麦の味がしない粉となりました。大方一年くらい経つので風味など劣化するのはやむを得ないのですが味まで無くなってしまうのは想像がつきませんでした。 保管方法:玄そばをコメ袋に入れ、自己保有の保冷庫(14、15度)に入れています。(米と一緒に保存) 製粉機械については、玄そばの生産者へ持参し製粉して頂きます。生産者も製粉され自営・販売もされており正常な状態という事で、差が出ることについて全く理解できません。 これだけの情報では無理かもしれませんが、想像で構いませんので良い保存方法を教えて下さい(保冷庫は210kG相当の容量です) ちなみに、20Kgが使い物にならなくなりました。 |
A 答 |
喜心庵のホームページをご覧いただきありがとうございます。 玄そばについてのご質問ですが、 玄そばを扱ったことがあまりなく、保管に気を配る様なこともなかったので、 研究と称して遊び半分で手碾き臼で玄そばを挽いていた経験と、 何軒かのそば粉屋さんで、聞いた話を元にお話しすることをお許しください。 「蕎麦の味がしない粉」 結論から言うと「わかりません」ということになります。 通常、そばの劣化というと、酸化臭といいますか、ひねた匂いと雑味がするもので、 劣化によって味が消えるというのは、経験のない現象です。 保管上の劣化ではないと仮定するなら、 1.玄そばが元々そういうものだった。 などが考えられます。 1.そばは生き物だから、畑一枚変われば味も違うのはあたりまえ。 とあるそば粉屋さんが言っておりました。 そば粉屋さんは出荷時に同じような品質になる様調整するのだそうです。 たまたま味の薄い玄そばだったのかも。 2.石臼碾きの場合,その産地に合わせた石臼というものがあるそうです。 通常、そば粉屋さんは回転数や投入量の調整で対応します。 玄そばの粒の大きさや含水量で調整して、 実際の碾いた粉を見て更にに微調整するそうです。 そうしないと味や風味が違ってくるそうです. 3.殻付きのまま碾くと殻の厚みの分石臼に隙間ができ、 粉になり易いデンプン質の多い中心部だけが粉になることがあります。 目の粗いさらしな粉にホシが混ざったような粉になります。 (ホシとはそば殻の粉のことです) 味や風味はそばの実の外層部にあるので味の乏しいそば粉になります。 投入量を減らして外層部も粉にしてやると、 いわゆる出雲そばの一回転碾きに代表される黒っぽい田舎そばの粉になります。 玄そばの含水量でも味が違ってくるそうです。 含水量と味の関係は試したことがないのでわかりません。 聞く所によれば、乾燥しすぎると風味が悪くなり、 含水量が多いと臼の目を詰まらせたりして味を落し, 最悪保管中にカビることがあるそうです。 鮮度がよすぎると味が薄く感じることがあります。 碾きたての粉より、碾いて1〜2日以上置いた方が, 粉が落ち着いて深みが増すという人もいます。 ある程度と言いますか,計算された酸化は必要ということでしょうか。 茹でたそばを、湯切りと称して外気に当てわざと酸化させて、 香りや味を濃くするというのは、老舗のそば屋の常道です。 (もちろんそば粉の鮮度が良いことが前提です) コーヒーや紅茶を高い位置からカップに注ぎ空気と混ぜあわせることで 香りやコクを出すのと同じような理屈でしょうか。 玄そばの保管方法となると門外漢なもので、手持ちの本からの情報です。 本田裕 著『新特産シリーズ ソバ 条件に合わせた作り方と加工・利用』農文協 によれば、玄そばは水分15%程度に乾燥させ、 温度15度以下、湿度70〜75%での保存を推奨しております。 包装はかます、麻袋,紙袋を使用とのことです。 特殊な方法になると思いますが、むかし信州大学の農学部の論文に-18度の冷凍保存に付いてのものがありました。ヌキや粉では試したことがあるのですが玄そばではやったことがありません。 今回はあまりお役に立てなくて申し訳ありません。 保管中そばの味が消える現象は大変興味深く感じました。 今後の課題として心に止めておきます。
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