Q&A   
ホームページをご覧いただいた皆様からのご質問です 
そばの延し

2013年02月15日 

 お世話になります。 ご質問を2,3点、させていただきますので、よろしくお願いいたします。

  1. 幅だし後、本延しが終わると、幅だし時の幅より数センチ狭くなります。前に延した後、手前にも延す事を心がけていますが、例えば、幅出し80cm⇒76cm位に狭くなることがあります。何が悪いのでしょうか?。
  2. 地延し、丸出しに時間がかかります。500gの生地を40cm位までするのに4,5分かかりますので、もう少し時間短縮をしたいのですが、うまくいきません。丸を崩したくないので、麺棒に入れる力が弱いのかも知れません。
  3. 本延し時の左右端の生地の厚さ加減が、四角く[  ]なりません。 端が三角に <  > なっていて厚みが見難いです。四つだし後にその兆候が四辺に出ています。修正できるでしょうか?(この項は表現が難しく、私のご質問が理解し難いと思います。その節は質問から削除をお願いします)

 以上

 答

 喜心庵のホームページをご覧いただき有り難うございます。 **様は真面目なきっちりした方だとお見受けします。 ご質問の件ですが、私には、どこに支障があるのかわかりません。 たぶんおいしいそばが打てていらっしゃると思いますが。 私などはいい加減なもので肉分けもろくにせず、 のしてしまうことはしょっちゅうですし、 料理とは食べやすくすること 最悪食べられればいいと言う考えなもので、 浅田様のようなきっちりした方に対しては恥じ入るばかりです。

食べやすくするとは調理する人のやさしさで食材(生き物)の元気を 食べる人の元気に変えやすくすること。とかんがえております。 食材に対するやさしさと食べる人へのやさしさが必要です。 きっちりすることばかりに気を取られていると、 見た目だけに注目するようになり 粘土細工のようにそばを扱い 生き物であることを忘れてしまう人もいます。

ご質問の内容からは、 食べ難いそばが出来上がる要素は見受けられないのです。

ですが、せっかくですから技術的なことも少々ご説明します。 丸出しに時間がかかるとのこと。 生地が硬すぎるのでなければ、5分はかかりすぎかもわかりません。 尤も、時間にとらわれることはありません。 二八であれば手で2センチ程度の厚みにできるぐらいの硬さが良いと思います。 真円である必要はありません。 のしに大きな支障が出て、 たたみ難くなるほど歪んでしまうと言うのでなければ、 多少歪んでもいても構いません。 円を目指して数をこなせば丸くなります。

500gの粉で80pの幅を取るのは大変だと思います。 四つ出しで80p四方の正方形を作るとすると 伸す必要も無い位の薄さではないかと思いますが。 このことで丸出しも相当無理をなさっておいでかと思います。 いい加減な私は、 店をやっていた頃、追加で500g打つ時などは、 長方形の四つ出しをするなどと言う横着な方法で 長さを揃えておりましたがお勧めはいたしかねます。

察するに達磨の高橋さんの系統の指導,手本を 受けておいでなのかと思います。 高橋さん自身、二十数年で4〜5回打ち方を変えています。 常に打ち方を模索されているが故に 名人に値する方だと尊敬しておりますが、 そば打ちは一通りではないことも 示唆されているものとも思っております。

もし私が500g程度の粉でそば打ちを指導するするとすれば 5〜60センチの幅を前提にします。 実際に40pの幅になろうが70pになろうが大して問題にしません。 幅が狭まる原因としては台に問題が無いとして、3つほど考えられます。 一つは前後に引っぱる力が働いて幅が狭くなるということです。 八の字を描くとき前方へ押し出すようにしていませんか。 十割の生粉打ちだったら切れてしまうような力ですが 強力粉を割粉に使うと結構弾力が出て 切れずに幅が狭まることになります。

二つ目は、麺棒が伸す方向に対して内側に傾いている場合、 つまり麺棒が斜めにして伸していると言うことです。 麺棒を斜めにするのは形を整えるために故意にするのですが 無意識に斜めになっているのかもしれません。

三つ目は、左右別々に伸す場合なら、 伸すとき常に外側の手に力が入りすぎているか、 いっぺんに伸すなら八の字に手を動かすとき 中央に手が入るとき極端に力が抜けるため、 中央に向って肉分けをするような形となり 幅が狭まるのではないかと考えます。 三番目のご質問が両端が薄くなることを意味しているとすれば、 三つ目が原因かと思います。 (強力粉の弾力もあってのことだと思います。)

対策としては、力加減を工夫してとしかいえないのですが 麺棒を熟練者がするようにダイナミックに大きく動かすのではなく 小さな動きで少しずつのして力の加減を体に覚えさせるとか、 八の字ではなく円を描くようにしてみるなどありますが、 いっぺん試してみてはいかがでしょうか。 幅が狭くなろうが、多少遅かろうが大した問題ではありません。 商売にしようとか、段位をとろうとかいうのでなければ。 食べやすいそばが良いそばです。

補足、訂正です
「二八であれば手で2センチ程度の厚みにできるぐらいの硬さが良いと思います。」 とあるのは、間違いです。申し訳ありません。 手での、地のしで2センチというのは生粉打ちの、 伸せる限界ギリギリ位の硬さの場合です。

手で2センチ前後までのせないほど硬ければ後の工程に相当苦労します。 生粉打ちの地のしの場合、私の目安は指先の厚みより若干薄めです。 先程測ってみたら1.2センチでしたから1センチ以下になると思います。 二八でしたら0.5〜1センチと言うところだと思います。 地のしでなるべく薄くしていた方が丸出しも早く楽です。

もちろん数字は一つの目安にすぎません。 1センチというのも1.5キロの生粉打ちを私が打つ場合で、 それ位に伸せる硬さが私にとって捏ねる効率が最も良く、 気持ちよく打てると言うことにすぎません。 打つ量や粉の種類によっても違ってきます。

私は数字で仕事をする料理人を信用しません。 ほとんどの場合食材の持ち味をぶち壊しているからです。 数字に惑わされないでください。 そばの状況を見定めて柔軟に対応してください。

そばの状況をよく見て、 多少苦労しようがあきらめない、見捨てないのが 食材としてのそばに対するやさしさだと思います。 多少の苦労や悩みは必ず技術の向上や経験となります。

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