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2010年 10月 1日 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
2011年 11月21日加筆 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
久々に、レシピのほうで取り上げようとも思ったのですが、よく考えたら「鴨南蛮」というモノ、よくわからないこと不思議なところが多いようです。これは 蕎麦の迷宮 に入れるにふさわしいだろうと、こちらに書くことにしました。
かの北大路魯山人は、パリの老舗レストラン、トゥールダルジャンで鴨料理を食べたとき、「これはアヒルだ!」と言い放ったそうです。 魯山人にならって蛮勇をふるって言えば、ぶっちゃけ蕎麦屋の鴨南蛮の鴨も、フレンチレストランの鴨と同じくアヒルです。 ところで、鴨南蛮に使っているのは合鴨だ、とおっしゃっているそば屋さんも少なくありません。これはどういうことでしょうか。 実は肉屋さんの業界では、食肉用品種のアヒルのことを合鴨というのが長年の慣習なのです。そば屋さんでも、そのあたりごぞんじ無いかたも多く、肉屋さんのこの特殊な慣習のために、本当に合鴨だと信じ込んでいることが多いようです(実は私もそうでした)。そば屋さんも悪意があって偽装しているのではありません、 ちなみに英語では、鴨も duck 、アヒルも duck です。フランス語でも同様に両方とも canard です。これは鴨とアヒルを区別する日本語ゆえの混乱ともいえます。 しかしアヒルを鴨や合鴨といって良いものなのか、疑問は残ります。そこで消費者庁に問合せの手紙を出したのですが、まったく音沙汰無し。黙殺されてしまったようです。(2010年10月 1日) それはともかく、アヒルは食べるための家畜ですが、いくらおいしく食べるために品種改良したとはいえ、アヒル南蛮じゃあ 食欲湧きませんよねぇ。ですから、そば屋が鴨南蛮といっても大目にみてください。
さて、いま鴨南蛮によく使われている主なアヒルは以下の3品種になります。
唐辛子のことを南蛮ともいいますが、鴨南蛮の南蛮とは唐辛子ではありません。そば屋ではネギを使ったそばを南蛮といいます。たとえば天ぷらそばに煮た長ネギが入ると、天ぷら南蛮(略して天南)というようにです。そば以外で、南蛮がネギだという例は他にないところも、実に不思議ではありませんか。
親子丼と親子そば、似た者どうしですが起源は全く別もので、赤の他人だったようです。 親子丼の起源は、玉ひでという軍鶏料理屋で、明治20年ころに作ったのが初めだといわれています。 一方「親子そば」は、幕末に書かれた守貞謾稿という本には、もうすでに載っていますので、親子そばのほうが先に誕生したことになります。 ただし、江戸時代の親子そばは、いまの親子そばのような ニワトリ肉と鶏卵ではなくて、鴨南蛮を鶏卵でとじたものだったそうです。
そば無しの鴨南蛮を「鴨ぬき」といいます。鴨南蛮からそばを抜くからそう言います。たまに、鴨南蛮から鴨を抜いたものだと誤解されるかたもいらっしゃいますが、それでは「かけそば」になってしまいます。おおかたのそば屋さんでは、裏メニューでお品書きにのせていません。
ニワトリ肉の場合、胸肉よりもモモ肉のほうが値段が高いのですが、鴨(またはアヒル)の肉は逆で、モモ肉より胸肉のほうが高いのです。理由は単純で、胸肉の方がやわらかくておいしいから。ちなみに胸肉のことを、抱身(だきみ)とかロースともいいます。
合鴨農法というお米の栽培方法があります。田んぼに合鴨のヒナを放して、雑草や害虫を退治してもらおうというものです。合鴨は2~3ヶ月でおとなになりますから、毎年大量の合鴨が生産されているはずなのですが、なぜか肉屋さんに出ることはありません。これもまた不思議なことです。
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参考資料 :
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