てんぷらそば2 |
|||||||||
2010年 9月 1日 | |||||||||
今月も先月にひきつづいて天ぷらそばについて調べてみました。
サラダ油、白絞油、てんぷら油の違いって何でしょうか? この中ではっきりとした基準があるのはサラダ油だけです。 サラダ油というのは、冷やして食べるサラダでも油が固まらないように、固まりやすい成分を取り除いたものです。固まりやすい成分を取り除く工程は、てんぷら油や白絞油でもおこなわれますが、サラダ油はより丹念に取り除いたものといえます。オリーブ油はサラダに使われることが多いのですが、サラダ油ではありません。 さて、あとの白絞油と天ぷら油のちがいはなんでしょうか。実は、この2つについては基準がなくてあいまいです。しいていえば同じ油でも業務用に販売しているのが白絞油、家庭用が天ぷら油と、販売上の都合で分けているようです。 そば屋の天ぷらで使うのは、熱に強いということで白絞油が多かったのですが、最近はサラダ油も熱に強くなったので、サラダ油もよくつかわれるようになりなした。 (熱に強いというのは、油を長時間加熱し続けると、どんな油でも酸化して、だんだんとまずくなっていきます。熱に強いというのは加熱し続けても味が落ちるのがおそいということです。)
モンゴル人のコックさんから「ラクダ油の揚げ物が一番うまい」と聞いたことがあります。モンゴルでは揚げ物料理にラクダの油を使うのだそうです。ラクダの油、天ぷらにしたらどんな味になるのか、いっぺん試してみたいのですが、日本には残念ながらありません。日本にはラクダの油はなくとも色々な種類の油があります。日本で一般的に天ぷらに使われる油を下に列挙してみました。 ■ 菜種油 値段が安いこと、クセのない軽い風味、熱に強いことなどで、最近よく使われるようになりました。 ■ 大豆油 ■ 胡麻油、太白胡麻油 しかし、そば屋で使うには強すぎるゴマの風味がそばの風味と喧嘩してしまうような気がします。 太白胡麻油というのはゴマを煎らずに絞ったもので、無色透明でにおいはほとんどありません。そばの香りをじゃましないし、ほのかな甘味があるので、店をやっているときは主にこれを使っていました。 よく揚げ物を食べると胃にもたれるといいますが、太白胡麻油は胃もたれしにくい体に優しい油です。 おもな原料産地は中国です。 ■ パーム油 単体だと寒い季節には固まってしまうので、菜種油や大豆油とブレンドして固まらないようにしている製品が多いようです。 業務用油としては最も安くて熱に強く長持ちすることで、コスト意識の高い店などで使われはじめているようです。圧倒的な経済性で、将来的には使用するお店が増えていくのではないかと思います。主な原料産地はマレーシア、インドネシアなど東南アジアです。 ■ コーン油 ■ 綿実油 カラッとあがってコクもあり、天ぷら専門店でも使われている高級品です。昔は普通にサラダ油や白絞油にブレンドされたり、マーガリンやマヨネーズなどにもよく使われていましたが、キャノーラ油にとって代わられ最近はさっぱり見かけなくなりました。おもな原料産地はアメリカです。 ■ こめ油 ■ ピーナッツ油
薄力粉を水に溶いてつくります。これだけでもじゅうぶんなのですが、卵を混ぜることが多いようです。 卵をまぜた時の効果ですが、黄身を混ぜると軽いサクッとした揚げ上がりに、白身をまぜると、しっとりしたフワッとした揚げ上がりになります。 科学的な理由は知りませんが、黄身には微細な脂肪球をたくさん含んでいますので、これが衣のなかに小さな空洞をたくさんつくって、サクサク感をだすのではないでしょうか。また白身のタンパク質が固まって網の目のようになったところに水分をだきこんでフワッとするのでは、と思っています。 ■ 花 適温の胡麻油であげると自然に花がつくこともありますが、ふつうは箸の先に溶いた衣をたらしながら揚げます。天そばの天ぷらが揚げ置きの店だと、溶いた衣を油の上に流し、その上にエビを置いて衣を巻き付けるようにして、とてつもなく分厚い衣をつけることもあります。 ■ たぬき 衣ばかりでネタがないところから、ネタ抜きがタヌキになったとも、中身のない天ぷらでタヌキにばかされたみたいだからとも、あるいは、小さなネタを分厚い衣で丸々とした形に揚げたのをタヌキに似ていたということで、タヌキといったのだともいわれています。 たぬきといえば下手物あつかいされることが多いのですが、味気ないエビを食わされるくらいなら、たぬきのほうがよっぽど旨いと思います。そばの種物はたぬきが一番とおっしゃるお客様も、少なくありません。 所変われば名も変わるもので、大阪ではそばに油揚げをのせた きつねそばをタヌキといいます。 ■ 天紙 とはいえ「左前になる」ということばも最近は聞かなくなりました。左前になるというのは、金運がなくなるとか、商売がうまくいかなくなるとかといった意味です。 紙は何のために敷くのかといえば、油を吸い取るためと、熱々のネタから出る水蒸気を通して衣が湿っけないようにするためです。天ぷらは陶器の皿の上に天紙を敷いて盛ることが多いようです。水蒸気がこもらないようにするためには、皿よりも通気性の良いザルのほうがいいんじゃないかと思います。盛りつけるときもネタから出る蒸気がこもらないようにすき間をあけるように盛り付けます。 ■ 天ぬき そば屋では、お品書きにのせていることは、ほとんどありません。いわゆる裏メニューです。ご常連さんが、お酒を召し上がるときにツマミとして注文するみたいな感じですかね。
■ オレイン酸?リノール酸?リノレン酸? 油のテレビCMでリノールとかオレインとかいっていますけど、いったいこれは何なのでしょうか?調べてみました。 そもそも食用油は脂肪酸とグリセリンがくっついてできています。リノールとかオレインというのはこの脂肪酸の仲間に入ります。脂肪酸は炭素二重結合の有る無しで、炭素二重結合 C=C のある不飽和脂肪酸と炭素二重結合の無い飽和脂肪酸に分かれます。不飽和脂肪酸は植物油や魚油のような液体の油の成分、飽和脂肪酸はラードやバターのような固体の油の成分です。リノールとかオレインとかは不飽和脂肪酸の仲間になります。 オレイン酸は二重結合が1つ、リノール酸は二重結合が2つ、リノレン酸は二重結合が3つの不飽和脂肪酸です。他にもたくさんの不飽和脂肪酸があって、お魚の DHA(ドコサヘキサエン酸)も不飽和脂肪酸です。 これらの不飽和脂肪酸は、コレステロールを減らすなど効能が喧伝されていますが、この手のものは、良いと言われていたものが研究が進んで悪いといわれたり、逆に悪いと言われていたものが良いといわれたりと変化が激しいのでなんとも申せません。 まあ、高カロリーの脂肪分ですから、健康を売り文句にしている油でも食べ過ぎは肥満のもとになりそうです。必須脂肪酸といっても、普通の食事で不足するということはまずありませんので、あえて努力して摂取する必要もないような気がします。 ■ トランス脂肪酸とはあまり健康に良くないのではといわれているトランス脂肪酸ですが、なんでしょうか。 不飽和脂肪酸の分子構造で炭素二重結合から同じ方向に水素がくっついているのがシス型。違う方向なのがトランス型といいます。 バターや生クリームなどの乳脂肪や、マーガリンやショートニングなど人工的に固形化した油に含まれているといわれています。 天然の植物油ではほとんどがシス型脂肪酸ですが、不飽和脂肪酸の二重結合に水素をくっつけて飽和脂肪酸に加工する過程で、一部が不飽和脂肪酸に戻ることでトランス型脂肪酸に変化します。この不飽和脂肪酸→ 飽和脂肪酸の加工はパン作りなどに使うにショートニングやマーガリンを作る工程になります。 こうやって作ったマーガリンやショートニングは、広くいろいろな食品に含まれているので、知らず知らずのうちに摂取しているようです。 また、そば屋の揚げ油のように長時間高温にしていると、トランス脂肪酸ができるともいいます。そう考えると、天ぷらそばもヘルシーとはいえないかもしれません。 |
|||||||||
参考資料 : 健康食品の安全性・有効性情報 農林水産省 すぐにわかるトランス脂肪酸 新・儲かるメニュー 天ぷら(柴田書店) 食品の裏側-みんな大好きな食品添加物(安部司著 東洋経済新報社) |
|||||||||
Q&A のページでお答えします | |
そばの迷宮の見出しにもどる | |
ホーム |