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■ なぜ蕎麦ツユには厚削りの鰹節と
いわれているのでしょうか?
削った鰹節は酸素の影響で味が落ちていきます。市販の花鰹は窒素ガスを封入することで、酸素の悪影響を防いでいます。薄ければ薄いほど空気に触れる面が大きくなり、酸素の悪影響を強く受ける事になります。
逆転発想ですが削りたてならば、薄く削った鰹節でも酸素の悪影響は少なくなります。じっさいに有名なそば屋さんのなかでも、うす削りの鰹節でダシをとっている所もあります。(ただし、香りのマイルドな枯れ節を使っているケースが多い)
厚く削った鰹節は長時間煮続けないとダシが出ません。この長時間煮続けるということに意味があるのです。長時間煮続けると鰹節の香りは水蒸気といっしょに蒸発してしまいます。こうして鰹節の香りを減らすことができるという利点があるのです。
「せっかく鰹節を使っているのに香りが抜けたらもったいないじゃないか」と言いたくなりますが、鰹節の香りの強いツユでは、そばの香りが負けてしまうのです。そばを食べるということは、そばの香りを楽しむという目的もあります。ツユの香りでそばの香りが台無しになってしまうのでは困ります。
しかし、最近は厚削りの鰹節でとったダシに、薄削りの鰹節を「追い鰹」にして、わざわざ香り付けしている蕎麦屋さんもあります。一口目でパッと鰹の風味がひろがる主張の強いツユが良いのか、それとも、そばの風味を引き立てる控えめなツユが良いのか。店それぞれに考え方があるようです。
たとえば、こんなことはありませんか? 初めて行った店で、一口目で「ウマッ!」と思わず叫んでしまうおいしさ。いい店見つけたと友達を誘って2度目の来店。お友達は思わず「ウマッ!」と叫んでうまいうまいと感激しているのに、「あれ〜?こんな味だったのかなぁ」と首をかしげる。
一口目のインパクトを狙ったおいしさと、2度3度とくりかえし食べても飽きないおいしさというのは、おいしさとは何かという考え方が根本的に違うのだと思います。
■ レシピ
最近はスーパーでも厚く削った鰹節を売っているようなので、厚削鰹節で蕎麦屋っぽいダシをとってみましょう。
薄削りの鰹節にくらべると時間はかかりますが、やりかたは簡単です。グラグラわいている熱湯に鰹節をいれて、ひたすら煮続けるだけです。
ちょっと目を離している隙に、お湯が全部蒸発してしまって鍋から煙が!なんてことにならないように気をつけてください。
お湯をわかす
- お湯がふっとうしたら鰹節をいれる
- (あく)あぶくがでてきたらすくいとる
- お湯が半分くらいになるまでぐらぐら煮る
- ダシをこす
- こしたダシを火にかけ、沸いたらかえしを入れる。(かえしについては、かえしを作るをご参照ください。
■かえしとダシを合わせる
材料 |
|
だし |
1リットルにたいして |
かえし |
200ml 〜 350ml |
- ダシを計って、かえしの量を決める
ダシの量からかえしの量を計算します。
- ダシを火にかけてわかす
- ダシがわいたら、かえしを入れて火を止める
- ペットボトルに入れる(自然に冷ます、氷水などで急いで冷やすと味のまとまりが悪くなります)
■熟成・完成