山芋の類をすりおろしたものを混ぜた蕎麦つゆに、そばをつけて食べるものを「とろろそば」といいます。よく似たものに「やまかけ」がありますが、これは「かけそば」にすりおろした芋をのせて食べるそばです。
先に「山芋の類」といったのは、山芋の類にもいろいろ種類があるからです。まずその山芋の類についてご説明します。
・長芋
中国原産で、江戸時代に日本に伝わりました。太い棒形で身は柔らかく、摺りおろしたときの粘りは弱くてサラサラしています。値段が安いのと、どこでも手に入る仕入れやすさで、そば屋のとろろによく使われています。
・大和芋
これも中国原産で、江戸時代の伝来です。長芋よりも小さい棒形ですが、イチョウの葉っぱみたいに広がった形になることもあるので、イチョウ芋ともいいます。身は長芋よりきめが細かく、アクも少なく、すりおろしたときの粘りも強くて、はしでつまめるほどです。主な産地は関東地方の群馬県、千葉県などです。
・つくねいも
これも中国原産で、江戸時代の伝来です。かたちに特徴があってジャガイモを大きくしたような丸型です。身はきめが細かいのですが非常に硬く、すりおろしたときの粘りは大和芋以上です。産地によって伊勢芋(三重県産)とか丹波芋(兵庫県産)とか呼ばれています。
・ヤマノイモ
昔は畑で栽培できなくて天然物しかなかったので自然薯(じねんじょ)ともいいます。日本在来の野生種です。細長い棒形で、粘りはひじょうに強いのですが、アクが強くて黒く変色しやすいのと値段が高いのが欠点です。最近では栽培もされています。
材料
長芋がそば屋のとろろそばの定番ですが、今回はちょっとぜいたくに大和芋を使ってみました。右の写真が大和芋です。
実を言うと、店ではずっと大和芋を使っていました。粘りが強いこと、アクが少ないこと、変色することがほとんどないことなど、大和芋ならではの長所はあるのですが、仕入れ値が長芋の3〜4倍もしましたので、コスト的にはたいへんでした。
作り方 |