先日、喜心庵のホームページをご覧いただいた方から「ルチンは水に溶けないとありますが、厚生労働省のサイトでは、 水溶性 になっているのですが…」というメールをいただきました。
さっそく厚生労働省の健康食品素材データーベースを見てみると確かにでは水溶性とありますね。これはどいうことでしょうか?水に溶けるものなのか溶けないのか、白黒つけないと気持ちが悪いですね。ということで、再び調べてみました。
結論をいえば天然ルチンは水に溶けにくいということで間違いありませんでした。しかし、わざわざ ”天然ルチン” はというからには人工的なルチンもあるのかという話ですが、実は、それが水溶性ルチンの正体だったのです。
ルチンは食品の酸化防止剤として使われているのですが、天然ルチンだと水に溶けないので使いにくいということで、水に溶けるルチンが開発されたというわけです。
天然ルチンに糖転移酵素を作用させ糖の分子を人工的にくっつけると、5,000倍も水に溶けやすくなるのだそうです。これが水に溶けるルチンの正体、α-グリコシル-ルチンです。
今、日本で食品添加物として使われているのは、この水に溶けるα-グリコシルルチンの方なので、厚生労働省はルチンは水溶性だと言っていたわけです。
調べてみると1989年に岡山県の化学メーカーが『α―グリコシルルチンの製造法とその用途』というタイトルで特許出願していました。ということは、もう20年も前から世の中に出回っているということですね。知りませんでした。ルチンといえば蕎麦という思い込みで人工物があるとは気がつきませんでした。
■ 元食品総合研究所理事長の鈴木建夫博士からルチンについてメールをいただきました(2011年6月19日) |
今回いただいたメールの全文です |
この記事を拝見したのが今日で(すみません)遅すぎたかもしれません。ルチンが水溶性であるというのは当たりません。
すべての物質は「その程度」で水溶性か難水溶性かを決めています。ルチンは難水溶性で水溶性ではありません。ルチンの効果を高めるために特殊な(お砂糖の分子を一つ結合して水溶性とする)ルチンが特許であるほどです。
元・食品総合研究所・理事長⇒宮城大学・食産業学部教授⇒本年三月退職後は色々し始めています。 |